とある創業経営者の方が、東京都内の某地域の市長選挙への出馬を予定されていると聞き、「一度お話を聞いてみたい」「政治を大きく変えてほしい」「私自身の勉強にもなる」と思い、先日開催されたオンラインミーティングに参加しました。
結論から言うと、今回は応援(参加)を見送ることにしました。
理由は5つあります。
一つ目は、候補予定者の挨拶の中で、出馬予定地域の隣の自治体について「○○市は何もない」という発言があったこと。
市長という立場は、自らの自治体だけでなく、近隣自治体や県、国など、多くの自治体や組織と連携しながら地域を発展させていく役割です。
そのような立場を目指す方から、安易に他自治体を強く否定する発言が出たことには強い違和感を覚えました。
二つ目は、候補予定者の挨拶の中で、出馬予定の地域に対して「この街に愛着は全くない」という発言が複数回(おそらく4回以上)あったこと。
さらに、「落選したら会社ごとこの地域を出ていく」という発言もありました。
当然ながら、地元出身である必要はありませんし、一生その地域に住む必要もない。
市長になるために、嘘を言う必要もありません。
人の権利ですから至極当然です。
ただ、市長を目指す立場の今なら、その地域を愛し、より良くしたいという姿勢(少なくとも、愛着がないという発言を何度も聞きたくはない)は、首長を目指す上で重要な要素だと私は考えています。
三つ目は、「まちを変えたい」というよりも、「自分の能力を試したい」という趣旨の発言が目立ったこと。
市長を目指す理由に「俺はここまで事業を伸ばしてきた。」「連戦連勝だった。」「どこまで自分ができるか試したい。」という発言がありました。
もちろん挑戦する姿勢は素晴らしいこと。
しかしながら、行政のトップとしては、自分自身のことばかりではなく、「地域や市民を主語」にした姿勢が求められるのではないかと感じました。
四つ目は、選挙戦略やマーケティングの面。
例えば「スタートアップ○○市」という表現がありました。
私はスタートアップ側の人間ですが、このキーワードが大多数の市民の皆様には届かないことくらいはわかります。
例えば港区や渋谷区のようなスタートアップの多いと言われる地域であっても、区政としてのこの言葉に共感してくれる区民が一体何割いるでしょう。
また、他のマニフェストについても同様に感じることが多く、訴える政策には改善の余地が多くあるように感じました。
他の主な政策としては、日本一のリモートワークの街、ふるさと納税拡大、街の知名度を高める、など。
あくまで私の感想でしかありませんが、街の課題の分析や、市民の声から作り上げたれた印象が薄かった。
また、事務局長からの選挙における具体的な説明の中には、「これはしていいが、これはしてはいけない」などの説明がありましたが、「していいこと」の中に、私の理解では、公職選挙法に抵触するおそれがある内容が含まれていました。
「私たちの陣営はクリーンな選挙を行う」との発言がありましたので、この点に関してはおそらく理解されていないのだと思います。
五つ目は、オンラインミーティング中の姿勢です。
事務局長の方が選挙中の動きやスケジュールについて説明されている間、ご本人はチュッパチャップスをなめながらスマートフォンを操作されていました。
Zoomの画面にその様子が長らく映っており、時間を割いて参加している立場としては、とても残念な印象を受けました。
彼の熱烈なファンであれば、むしろそのキャラクターを支持するのかもしれませんが。
私は、政治経験がないこと自体はマイナスだとは思っていません。
むしろ、創業経営者として大きな実績を築かれた方だからこそ、新しい視点や大きな改革への期待を強く持って参加しました。
これからも、かっこいい創業経営者の1人として注目はしていきたいし、日本に素晴らしい影響を与えてくれる人物であると、強く強く思います。
しかし、今回の説明会を見る限りでは、創業経営者としての魅力やカリスマと、自治体の市長として応援したいと思える人物像は一致しませんでした。
短時間のミーティングだけでその方の全てを判断できるものではありません。
それでも、私自身としては応援する立場にはならないという結論に至りました。
選挙が、そしてその後のその街の政治が、有意義なものになることを祈っております。


