この度の一般質問のテーマは次の2点です。
①福山市の転出超過対策について
②福山駅前のまちづくりについて
また、今回の論点として私が特に強調したのは次の4点です。
■①福山駅前再整備は「期限ありき」では危うい
私が「枝広市⻑からは、令和7年度9月定例会にて、【11月中に新たな計画案の叩き台を示し、年度内に基本計画を取りまとめる】とのスケジュールが示されました。担当職員の皆さんの努力により、11月中こそ叶わなかったものの、12月1日の福山駅前広場協議会には叩き台が示されました。今後10年、20年、30年、あるいはそれ以上にわたり、福山駅前の姿を左右する極めて重要な論点を、このようにギリギリのせめぎ合いの中で進めている現状には、大きな不安を抱いています。」と申し上げました。
枝広市長からは「議員は先ほどのご質問の中で、【ギリギリのせめぎ合いの中で進めている】とおっしゃいました。何をもってギリギリのせめぎ合いなのか私はよく分かりません」との答弁がありました。
私からはそれに対して、「枝広市長からは【何をもってギリギリと感じられるのかわからない】という答弁をいただきました。もちろん私の主観ではありますが、ギリギリのせめぎ合いであると申し上げたのは、これまで4年以上かけて練られてきた計画案が見送りとなり、その後わずか半年程度で新たな計画を作り直すという状況に対する危機感からです。駅前はこれから数十年に渡る計画であり、それゆえにギリギリと申し上げました。」と返答させていただきました。
論点が多岐に渡り、利害関係者も多く、かつ大きな意思決定であるが故に、期限に過度に縛られた判断ではなく、将来に責任を持つ計画にしていただきたいと要望しました。
■②叩き台2案の比較では、私は「②案」を支持
叩き台1と2は写真に添付します。
一つ目が「福山駅前広場を全面的に広場化する案」、二つ目が「バスターミナルを6割程度に縮小し、空いたスペースを広場にする案」の2つが提示されており、私は二つ目がベターであると考えています。
理由は3つです。
①福山駅前に全面広場は過剰スペースであること
②「広場=にぎわい」という考え方は地方都市では過大評価であること
③公共交通機関の利便性は福山駅前にとって不可欠であること
バスは1日平均700台が福山駅前を日常的に利用しています。
1案のように伏見町北側に回した場合、バスが伏見町を迂回するために費やす時間、人件費、燃費を鑑みると、年間2億円程度のコストが必要になるとのこと。
それに対して、平日も休日も、真夏も真冬も、福山駅南口という福山市の一等地に7000㎡以上の広大な広場を求める人はどの程度いらっしゃるでしょうか。
利用実態から見ても、日常的にバスを利用する市民より、広場として使いたい人を優先する配置には反対です。
加えて、くつろぐ場所は中央公園や美術館前広場、福山城公園や2026年夏頃完成予定の丸之内公園(福山駅北口)、そして商店街など、すでに多数存在しますからね。
■③コンサルティング会社との契約の妥当性
福山駅前のビジョン策定や協議会の運営などを依頼している株式会社アフタヌーンソサエティ様とは、2016年以降、24件の業務を委託しており、総額約3億9千万円の資金が支出されています。
加えて、その契約はプロポーザル方式ではなく随意契約です。
市側は、「先進的知見と実績を踏まえ、合理的な判断である」との答弁でした。
現時点、その「知見」と「実績」が十分発揮されているかどうかは、検証が必要と考えております。
第12回駅前広場協議会では「私は座⻑という⽴場ですので、私からはあまり意⾒は⾔いません」との発言や、当初検討していた計画が見送りになったタイミングの第10回駅前広場協議会では、終了の挨拶で清水座長から、「不幸中の幸いとでも言うべきか、良い結果が生まれる前兆のような気がした」との発言があったことを引用し、先進的な知見と実績を活かして、もっと力強く導いていただくよう要望いたしました。
清水座長とはFacebookでも繋がっておりますので、大変恐縮ではありますが、議員の責務としてここに事実を明記します。
■④転出を止める最大のポイント
福山市における転出超過が続く中、私がスピード感も含めて取り組むべきと考えるのは、「学びの機会」と「働く機会」の環境整備です。
特に、2027年に開校予定の福山市立大学「情報工学部」については、全国から注目される人気学部に育てていただきたいと申し上げました。
その際にボトルネックとなるのが、公立大学ゆえに教授給与を柔軟に引き上げることが難しく、著名な研究者や実務家を給与という観点では呼び込みにくい点です。
ただ一方で、大学に関わること自体が企業にとってはCSRの向上につながり、個々の専門家にとってはキャリアの肩書にもなる。
つまり、給与以外のインセンティブ設計が有効だということでもあります。
企業出身人材を「特任教授」などの肩書で積極的に受け入れたり、産業界と研究を共同で進める仕組みを強化するなど、企業側にも明確なメリットが生まれる制度設計が重要だと考えます。
学生、企業、市、そして地域が、いずれも得をする学びの循環をつくることこそ、情報工学部を福山市の学びに環境をアップデートする道だと考えております。
今回も多くの視点から質疑をさせていただきました。
正面から向き合ってくださいました、市長をはじめとする行政の皆様に感謝申し上げます。
引き続き、質疑と提言をさせていただいたことが実現し、身を結ぶよう、取り組んでまいります。




